吾唯足知

今日は少し哲学的というか禅問答的というか、そんなことを記そうかなと思います。

みなさん「吾唯足知」(仏教的には「吾唯知足」でしょうか?)という言葉をご存知でしょうか?
これは京都の「龍安寺(りょうあんじ)」というお寺の、水戸光圀公から寄進されたとされる蹲踞に描かれた文字です。

「中央の水穴を「口」の字に見立て、周りの四文字と共用し「吾唯足知」(ワレタダタルコトヲシル)と読む。」
※龍安寺HPより引用

仏教の「知足の心」

「吾唯足知」の由来は、『お釈迦様が解いた「知足のものは、貧しといえども富めり、不知足のものは、富めりといえども貧し」という「知足」(ちそく)の心』(龍安寺HPより引用)だそうです。
分かりやすく現代文に直訳すると、「足りていることを知っている者は、貧しいと言えども富んでいて、足りていることを知らない者は、富があると言っても貧しい」といったところでしょうか?

僕はこの言葉をある今でも大好きな人から4~5年前に教えていただきました。

その時から数年間、僕の中では「吾唯足知」をこう解釈していました。
「人は皆、今あるもので足りているんだよ。だから今に感謝して生きていることで幸せになれんだよ。」

僕はクリスチャン(仏教の話しておきながここで言う⁉)です。敬虔な方からすると「なんちゃってクリスチャン」と怒られるかもしれませんが、それでも悩んだ時、苦しい時には今でも聖書を開く時があります。
そんな僕ですので、当時抱いていた「吾唯足知」に対する解釈は、割とスッと入ってきました。
クリスチャン風に言うと「何事にも時がある」といったところですね。
※この言葉、聖書のある個所の言葉なんですが、これもとっても大切にしている言葉なので、機会があればご紹介したいと思います。

老子と出会う

「吾唯足知」と出会って数年後、ふとしたことからある書物の中でこの言葉と出会います。
講談社出版の「老子」です。
※今「ろうし」で変換した際、初めに出てきた漢字は「労使」という時点で職業病ですね😅

この老子の本の中に「知足者富」(足るを知る者は富む)という記述があります。
そしてこの後にはこんな言葉が続きます。

「強行者有志(つとめて行う者は志有り)」

僕が呼んでいた本では、この箇所についてこの様に訳されていました。
“満足を知っていることが(真に)富むことであり、
            努力して実行するのが目的を持つ人である。”


もうガツンと来ました。
元々の僕の解釈ですと、「唯々今に感謝して、満足して生きる」だけにフォーカスしてしまっていたなと。
それはちょっと違うんじゃないかという想いも僕の中にあったんだなと。
この老子の本を読んだことで、その潜在意識も呼び起こされ、かつ「努力して実行するのが目的を持つ人である」の一文が刺さりました。もう文字通り「ガツン」と来ましたね。

縁を繋ぐ努力、太くする努力

誕生日にお祝いをしてもらった時や、人から褒められた時、僕の中で強く意識することがあります。
それは「一年後も、この次の時も『そう言い続けてもらえる自分で在り続ける』ように頑張ります」と伝えることです。

自分で言うのもおこがましいんですが、今言ってもらってることが当たり前のことじゃないってことを、自分なりに分かってるからだと思いますが、その場その時をうれしく思いながら、同時に「それは当たり前のことじゃない」って思う自分がいます。
阪神淡路大震災を経験していることもとても大きく影響していると思うんですが、それだけでなく今まで生きてきた中でそう感じる自分が形成されてきたのでしょう。そういう意味では、僕をこういう形で形成してくれた、今まで関わりのあった人達、両親や兄にも本当に感謝です。

新型コロナウイルスの影響で、世間の皆さんも僕も、色んな事に対して自粛を余儀なくされていますが、そうすると色んな不平、不満を持った心が芽生えます。僕もそうです。
でも、新型コロナウイルスが蔓延しているからこそ気付けることもそこには在って、それは往々にして普段は当たり前に感じていた、もっと言えば当たり前すぎて意識すらしていなかった事ってないですか?
僕には新型コロナウイルス蔓延前には意識出来なくなっていたことで、こんな状況だからこそ気付きなおすことができたものがいくつもあります。

今にフォーカスして足るを知るだけでなく、その満たされた状況を当たり前と受け取るのではなく、当たり前で在り続けるためにはその為の努力が必要なんだってこと、改めて気付かされましたね。

僕の会社の名前の由来は以前のブログでも書きましたが、縁を大事にするってことと、いただいたご縁を太くすることってまた違う努力が必要で、縁を大切にしたいからこそ、そういう自分で在り続ける努力が出来る。
そんな人間で在りたいなと思います。

何だか説教臭くなってしまいましたが、自分自身への戒めの念も込めつつ、少しでも皆さんの心に何かが届けばいいな~。と祈りながら筆を置きたいと思います。

今日もお読みいただきありがとうございます😊

日常

Posted by 松田邦彦